美しい歴史的建造物が並ぶ街並みや、マリアッチ発祥の地としても有名で、テキーラ村への拠点、グアダラハラで絶対外せないイチ押しグルメ、グアダラハラ美人など、魅力がたくさんあるグアダラハラ。
しかしこれから移住や駐在を控えている方や旅行者にとっての一番の懸念点は治安ではないでしょうか。
観光客や外国人在留者が比較的安心して過ごせる地域もありますが、避けるべき地域があるのも事実です。
またグアダラハラにおける過去3年間の犯罪指数は上昇傾向にあり、スリやひったくり程度のものから、殺人、強盗、誘拐、カルテルによる残虐事件などもあります。
これからグアダラハラを訪れる方はあらかじめ避けるべきエリアと比較的安全なエリアを把握していることが大事です。
できる限りの自己防衛をして、グアダラハラ観光・滞在を楽しみましょう。
はじめに グアダラハラってどんな都市?
一言で表現するとメキシコらしさ、モダンさ両方を兼ね揃えた都市です。
グアダラハラはハリスコ州の州都で人口は164万人の大都市です。
グアダラハラ大聖堂や、デゴジャド劇場、ハリスコ州庁舎、世界遺産に登録されているオスピシオ・カバーニャスなど、美しい建築物が数多くあり、その景観の美しさから「西部の真珠」と称されています。
これらの観光名所はぎゅぎゅっと市内中心部に位置しているので、アクセスが良く観光しやすい街であるといえます。
代表的な建築物以外にも、歴史を感じさせる建物が数多くあり、スペインの植民地だった面影を感じさせます。ただ建築物を眺めながら街中を歩いているだけでも楽しいですよ。
また数多くのバー、レストラン、カフェなどが立ち並び、夜にはナイトクラブが賑やかになる有名なAvenida Chapultepec(チャプルテペック通り)や、メキシコとは思えないほどの(失礼)モダンで高級感漂うAndares Shopping Mall(アンダレスモール)、乗馬もできるBosque Los Colomos(コロモス森)など、観光客のみならず、長期滞在者も飽きない都市だと言えます。
よっ!西部の真珠
グアダラハラは危険!?
カルテル問題を除けば(普通に観光する分には)比較的安全
良いところを挙げたらキリがないグアダラハラですが、残念ながら犯罪率が高い都市としてランキング上位内にその名が挙がっています。
移住地の検討をしている際にメキシコ人夫でさえも、グアダラハラの治安を懸念していました。
スリやひったくりはメキシコ国内に限らず常に気を付けるべき点ですが、一番の危険要素はカルテルの存在です。
彼らと関わりを持たないように薬物は買わない、摂取しないなんて大前提の話なのですが、関係のない一般市民が一切巻き添えになってしまうこともしばしばあります。
先日グアダラハラの中心部エリアで行方不明者家族や支援する人によるデモ(?)ビラくばりをやっていました。「女性も多いけど若い男性が圧倒的に多いな」という第一印象でした。ネット情報によると、誘拐された彼らは殺害されたり、強制的にカルテルの戦闘員にされたりするようです。
またメキシコ国内の若者のみならず、最近は中南米からの難民らがメキシコで生きていくお金が無い・国に帰るお金も無い、といった貧困故に自らカルテルの仲間入りしてしまう人々もいるとのことです。
とはいえ外国人がカルテル犯罪の巻き添えになることは稀なので、外国人が狙われやすい犯罪に対する対策をして、自己防衛はぬかりなくしておきましょう。
今後もメキシコから目が離せない/ドラマや映画さながらの汚職大国
グアダラハラはカルテルにおける薬物密売のための重要な中継地点であること、シナロア州やミチョアカン州のカルテル同士の縄張り争いも相まって犯罪の増加傾向につながっています。
カルテルの主要産業は違法薬物の製造と密売ですが、その顧客の大半がアメリカ・カナダを占めています。
これまではコカインやメタンフェタミンが主に違法製造、密売されていました。
しかし2022年にはアメリカで年間11万人超が過剰摂取で亡くなり、まさに21世紀版アヘン戦争の様相を呈している元凶のフェンタニルという薬物が大問題になっています。
「フェンタニル?なにそれ?」と思った方、オピオイドといえばピンとくるでしょうか。
いったん白紙に戻された模様のオピオイド訴訟。今年の夏までに判決が下る大注目の裁判です。
フェンタニルの原料であるケシは中国が原産国であり、メキシコのカルテルが違法に製造、アメリカに密売されています。
昨年アメリカ司法省がメキシコカルテルに原料を密売していた中国企業を相手取り起訴しました。
これに対し中国当局は「アメリカのフェンタニル問題の根源はアメリカ自身にある」と超強気な態度。各国の対応にも目が離せません。
興味深すぎてネット検索や動画視聴が止まらなくなりますが、興味のある方は「メキシコカルテル 麻薬戦争」「フェンタニル」「オピオイド」なんかのワードでググってみてください。
メキシコの治安当局や地方政府まで汚職がはびこるメキシコ。
国内外から批判・ドン引き殺到の、警察がカルテルメンバーに43人の学生が乗ったバスを引き渡し殺害を指示したイグアラ市学生集団失踪事件も記憶に新しいです。
まさにドラマや映画さながらの汚職大国。
(微妙に話がそれますが)近年世界10位規模のリチウムが埋蔵されているのが発表されたメキシコ。早々に採掘や利用については国の独占化を発表。国外企業から邪魔されず良い方向に向かえば良いですがその逆も然り、、。(汚職とかだいじょぶそ?)
ある意味今後も目が離せないメキシコなのでした。
外国人が巻き込まれやすい犯罪とは
まずは外務省の海外安全ホームページを見てみます。
どうやら2023年10月に危険レベルが更新され、「グアダラハラは危険レベル1:十分注意してください。」に危険レベルが引き上げられました。
内容としては強盗事件が多く発生しており、治安改善に向けて力を入れているもののここ数年高止まりの状態が続いているとのこと。
強盗だけでなく、スリやひったくり、タクシーによるぼったくりなんかの被害に遭う可能性もあります。
グアダラハラ在住の私がとっている対策
私がとっている対策について紹介します。
紹介する対策に加えて、夜に一人で出歩かないなどは大前提です。
夫と一緒に夜歩いていると、夜道を一人で歩いている女性も多く見かけますが、アジア人は目立つので念には念を入れた方が良さそうです。
先日ルチャリブレ(メキシコ版プロレス)が終わった後お土産店を見てから徒歩で帰路についたので深夜遅くなってしまったのですが、「日中どこにいたの!?」って程の路上生活者の方がたくさんいました。
寝ている方が大半ですが、りんごに延々と熱心に話しかけるニキもいて、日中とは全く違う雰囲気。足早に帰りました。
りんごが恋人ニキ。
複数人でも夜間の徒歩移動は避けよう。
タクシーぼったくり対策
- 他の移動手段を使う
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Youtubeでメキシコ各都市の情報収集をしていると、タクシーにぼったくられた!との被害をよく目にします。
残念ながら外国人を狙ったぼったくりがあるのも事実なので、Uberを使ったり安全な場所への行先なら公共交通機関を使って、流しのタクシーでの移動は避けた方が賢明です。(ホテルでチャーターしたタクシーは問題なし)
スリ対策
- シンプルな服装にする
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高級品など普段から身に着けないですが、あまりにも目立つ服装はしないように心がけています。
日本だったら部屋着行き即決の色褪せたTシャツ+ジーンズとか。(とはいえたまにお洒落したくなり着たいものを着ていますが) - 貴重品は最小限に薄くしてジーンズポケットに
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安全対策のため貴重品はポケットに入れずバックで持ち歩く派もいそうですが、バイクひったくりにあってバック丸ごと取られたら元も子もないので私はこの方法に落ち着いています。
強盗対策で後に紹介するダミー財布はバックに、ごく薄い財布をポケットに入れています。
ポケットが無い服装の時は仕方なくバック奥底に隠し持っています。
ひったくり対策
- 車道から離れる
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バイクひったくりも多く発生しているようです。
道を歩く場合はなるべく車道側から距離をとって歩いています。(日中のチャプルテペック通りなど、完全に気を抜いている日も多々ありますが、、。)
強盗対策
- ダミー財布とダミースマホを持ち歩く
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銃をつきつけられるなんて絶対に経験したくないですが、万が一そんな状況に巻き込まれた場合に躊躇なく貴重品を渡せるようにダミー財布とスマホを持ち歩いています。
ダミー財布には少額の紙幣と硬貨、レシート、不要なカードを入れてます。
スマホは以前使っていたもので個人情報など抜かれないように初期化されています。本物っぽく見えるようにバッテリーがある状態を保っています。
夜間避けるべきエリアと比較的安全なエリア
紹介した対策を取った上で、さらに忘れてはいけないのが避けるべきエリアを把握しておくことです。
避けるべきエリアは、グアダラハラに着いた当初Airbnbのメキシコ人オーナーさんに教えてもらいました。
正直な所グアダラハラは思っていたよりも危険な雰囲気はなく、紹介するエリア含めて市内の多くのエリアはどこも日中は歩いていても問題ないように思いました。ここで紹介する避けるべきエリアは夜になるとがらっと雰囲気が変わるので、訪れる場合は暗くなる前に移動しましょう。
夜間避けているエリア
SantaTelesita(サンタテレシータ)
日曜日には大きなTianguis(ストリートマーケット)が開催されるエリアです。
活気あふれるマーケットなので見ていて楽しいですが、長居せず暗くなる前に移動しましょう。
またトレンディなエリアとされるColonia Americana(コロニアアメリカーナ)エリアから徒歩20分ほどなので、夕方以降散策していたらサンタテレシータに着いてしまった、といったことがないように注意しましょう。
San Juan de Dios(サンフアンデディオス)
こちらのエリアは観光地としても有名であるラテンアメリカ最大規模の屋内マーケット、リベルタ市場付近のエリアになります。日中は観光客も多く、一人で歩いていても問題ないエリアですが、マーケットが閉まってからは人通りもまばらになり、ガランとした雰囲気になりますので、サンタテレシータ同様暗くなる前に移動しましょう。
比較的安全とされているエリア
市内中心部などの観光客が行くようなエリアや観光名所付近は、日中はどこも安全に散策できます。
また観光客が多いエリアには、常に警官が見回りをしているので軽犯罪を未然に防ぐ努力をしているのは見てとれます。
ここで紹介するエリアは、グアダラハラに中~長期滞在する上で候補に入れたいエリアです。
Colonia Americana(コロニアアメリカーナ)
このエリアには植民地時代の面影を感じられる見事な建築物が数多く残っています。これらの立派な建物を見て歩くだけでも楽しいのでグアダラハラにきたら是非散策してほしいエリアです。
またトレンディーなレストラン、カフェ、バーが立ち並ぶチャプルテペック通りはこのコロニアアメリカーナエリアに位置しています。
モダンなコンドも数多くあり、コンド建設ラッシュでもあります。
Providencia(プロビデンシア)
このエリアは高級住宅街として知られています。
オフィスやレストラン、ホテルも数多く見つけることができます。
金融街や主要なショッピングセンターも近くにあり、ビジネスでの滞在者や旅行者にも理想的なエリアです。
終わりに
メキシコと聞くと危険なイメージが先行してしまいがちですが、安全に旅行できる都市や街もたくさんあります。
ここグアダラハラが位置するハリスコ州は中小様々なカルテルの拠点となっており、残虐な事件をニュースなどで耳にすることも多いですが、カルテル関係者でない外国人観光客がそういった殺人・残虐事件に巻き込まれるのは極めて稀です。
強盗やひったくり、スリなどの中・軽犯罪の対策をしっかりして、滞在・観光を楽しみましょう。
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